Webアクセシビリティ-1

この記事は約4分で読めます。

Webアクセシビリティとは何か

アクセシビリティとユニバーサルデザイン

アクセシビリティとは、障害や能力に関わらず何かの利用や操作が可能な状態を指す概念のことである。
特に Web に関するアクセシビリティを Web アクセシビリティと言う。
Web アクセシビリティは、障害や能力に関わらず、誰でも Web サイト上の情報を手に入れ、Web サービスを利用出来ることを指す。
一言で言えば、Web サイトの使いやすさを向上させることである。
Webアクセシビリティは Web サイト制作者が配慮しなければならないことであり、より多くの人に快適に Web サイトを利用してもらうために必要なものである。
また、アクセシビリティと関連する概念としてユニバーサルデザインがある。
アクセシビリティが障害者や高齢者を主な対象としているのに対し、ユニバーサルデザインは全ての人を対象としているのが主な違いである。
どちらも、より多くの人に快適に物やサービスを利用してもらうための考え方という意味では共通している。

Web アクセシビリティの対象者

Web アクセシビリティの対象者である障害者や高齢者は、障害や体の不自由さに応じて様々な環境で Web を利用している。
そのため、Web アクセシビリティに配慮した Web サイトを作るためには、どのような人たちがどのように Web を利用し、何を問題に感じているのかを理解することが大切である。
主な対象者として、視覚障害者、色覚障害者、聴覚障害者、身体障害者、高齢者が挙げられる。
まず、視覚障害者には視覚に頼ることが出来ない全盲の人と、視力が低い、視界がぼやける、あるいは狭いといった症状がある弱視の人がいる。
色覚障害者は、色の違いが判別できない、または判別しにくい人たちであり、健常者と色の見え方が異なる場合も多い。
聴覚障害者は、音が聞こえない、小さな音が聞こえにくい、特定の音が聞こえにくいなどの症状がある人たちである。
身体障害者は、身体の動かせる機能や程度に制限がある人たちである。
高齢者は、加齢に伴う視覚や聴覚等に不自由がある人たちである。

視覚障害者

全盲の人は、主に Web サイト内のテキストを人工合成音声で読み上げる「音声読み上げソフト」を使って Web を利用している。
音声読み上げソフトには様々な種類があり、見出しやリンクだけを拾い読みする機能など、素早く Web サイト内の情報を入手するための機能が備わっている。
弱視の人は主に画面を拡大表示するソフトや、ブラウザの画面拡大機能などを使って Web を利用している。
Web 利用時の問題点として、全盲の人は音声読み上げソフトの使用に困難が生じる場合がある。
例えば、画像のテキスト以外の情報に代替テキストがない場合は正しく情報が伝わらない。
リンクテキストが「こちら」としか書かれていない場合には、リンク先を判断することが出来ない。
また、音声読み上げソフトで意味が伝わらない文章表現もあるため、記号などを大量に使ってテキストを装飾するような手法は避ける必要がある。
弱視の人は、Web サイト内の文字サイズが固定されてしまっているために文字が拡大出来ない場合がある。

色覚障害者

色覚障害の人はモニターのコントラストや輝度を調整したり、自分の症状に合わせて文字色等をカスタマイズする独自のスタイルシートをブラウザに適用して Web を利用している。
Web 利用時の問題点として、背景色と文字色の組み合わせによっては文字が読みにくい場合が挙げられる。
特に、赤背景と緑の文字の組み合わせは見にくいと感じる人が多い。
このような色の組み合わせの場合、色覚障害者には文字がとても見にくくなってしまう。
また、色の違いだけで強調や意味の違いを表現していると認識できない場合がある。

聴覚障害者

聴覚障害者は、基本的に健常者と同じ環境でWebを利用しているが、OS の補助機能を使用して音声による通知を画面に表示出来るようにしたり、音量を調整したりしている。
Web 利用時の問題点としてWeb サイトの音声や動画を利用する時、字幕等のテキストによる説明がないと、どのような情報なのか分からない場合がある。
また音声によって Web サービスの案内や説明をしている場合も、正しい読み上げが行われないなどの理由によりどのような情報なのかが伝わらず、 Web サービスを利用出来ない場合がある。

身体障害者

身体障害者は、身体の動かせる機能や程度に個人差が大きいため、キーボードの設定変更や特殊な装置、支援ソフトを使用して自分に合わせた環境を用意してWebを利用している。
Web 利用時の問題点として、マウス操作が難しい場合やWeb サイト内の全ての操作がキーボードで行えないと、Web サイトや Web サービスを利用出来ない場合がある。
またマウス操作をする場合、大きく動かす必要があったり細かい操作を要求されると、Web サイトの利用が難しくなることもある。

高齢者

高齢者は PC に詳しくない場合、初期設定のままブラウザ等を使用していたり、視覚障害者、聴覚障害者が使用するソフトや機能を使用していない場合がある。
Web 利用時の問題点として、視覚障害者、聴覚障害者と共通の問題点が起こる場合がある。
また複雑な操作が苦手だったり、新語、英語、IT 関係の専門用語を敬遠したり、多くのページがある Web サイトを利用していると、現在のページを見失ってしまったりする場合がある。
今後は PC に慣れた高齢者が増加すると考えられるが、より多くの人に Web サイトを利用してもらうためにも配慮を忘れないようにしたいものである。

タイトルとURLをコピーしました